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研究内容

1. 水産物に含まれる成分の生体機能調節

 私たちが食べている水産物には多くの成分が含まれ,皆さんの生命活動に寄与しています。この多くの成分が,それぞれどのような生体機能を調節するのに役立っているのかを知ることで特定の機能を強化を期待した食品設計(機能性食品など)が可能となります。

 また,市販されている商品を加工メーカーにて製造する過程では必ず副産物が発生します。例えば,蒲鉾の製造工程では魚肉を採肉する際に発生する頭部,内蔵,骨,皮,水溶性タンパクやミネラルなどがあります。このような副産物にも有効な成分が残っていることから,廃棄物として扱うのではなく未利用資源として捉えることで資源の有効活用が実現します。この他にも,南西諸島海域で展開されているクロマグロ養殖場では生簀にサンゴが付着し,生け簀のバランスを崩すなどの悪さをします。そこでこの付着サンゴを回収し,美容や医療に貢献する低分子化合物を探しています。

 実験は,各モデル細胞系で評価を行い,各病態を発症するモデル動物を使って生体レベルで実証を行います。

 

 モデル実験系:各種がん細胞株の増殖抑制,二糖類分解酵素阻害活性評価,

        抗炎症評価,骨代謝調節評価,光皮膚老化,

        UV-A照射コラーゲン線維化阻害,メラニン生成調節評価,

        抗疲労評価など

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2. 次世代統合型陸上養殖システムの開発による高機能性水産物の作出

「ウニの好きな食べ物は何だろう?」という疑問から研究が立ち上がったのですが,数十種類の微細藻類をアビセル板にくっつけて稚ウニに与えたところ,好きな物と嫌いな物を表現してくれました。この結果を活用して,高機能飼料を開発することで環境に優しい陸上養殖システムを確立することができないか現在検討しています。本研究は,一般社団法人岩手県栽培漁業協会様のご協力の下,キタムラサキウニの稚ウニを,南伊勢町の協力の下,クロアワビを実験動物にして取り組んでいます!

3. microRNA発現プロファイルを指標とした新規スクリーニングマーカーの検討

 近年,microRNA (以下miRNA) やsiRNAなどの短いRNAが発生・分化やクロマチンのメチル化,発ガンなど様々な生理現象に関与することが明らかになり,その報告数は年々増加しています。我々はこれまでに骨芽細胞の分化過程にmiRNAがどのように関与しているのかについて明らかにすることを目的に,マウス頭蓋骨由来前駆骨芽細胞MC3T3-E1細胞を用いて強力な骨分化誘導因子であるBone morphogenetic protein-2 (以下BMP-2) 刺激によって変動するmiRNAの分化制御機構について検討しています。その他にも血管平滑筋の石灰化におけるmiRNA発現変化,メラニン生成におけるmiRNA発現変化など様々な生理現象におけるmiRNAの働きについて検討しております。得られた成果は食品成分の各種疾患に対する新規指標マーカーになりえないか,または核酸医薬の開発に繋がるものと期待しています。

4. エクソソームを利用した骨代謝調節

 メカニカルストレス負荷による骨形成は,センサー細胞である骨細胞が応力を受けることで変形し,この変形ストレスを電気信号に変換します。その結果,骨形成シグナルのスイッチが『ON』となり,液性因子が分泌されます。我々はこれまでに前述研究テーマ3で示したように,強力な骨分化誘導因子であるBMP-2による前駆骨芽細胞分化にいくつかのmiRNAsが深く関与していることを報告してきいました。このmiRNAsは, 細胞自身がコミュニケーションツールとして分泌するexosomeにも含まれていることから,メカニカルストレス負荷を受けた骨細胞および骨芽細胞が分泌するexosomeの中に骨分化に対して優位に作用するmiRNAsが含まれていれば,exosomeを介して伝播し,骨代謝調節を行うのではないかと考えています。本テーマでは,このexosome媒介骨代謝システムを解明するとともに,このシステムを利用したナノ創薬開発の可能性を見出すことを最大の目的としています。    

フナコシ株式会社資料より

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